テルミンさんの知恵袋
突然ですが、わたくし「Yahoo!知恵袋」が好きなんです。
人々が自分の困っていることや、疑問に思っていることを、そこはかとなく書きつくれば、それに対してまた別の人々が回答を書き連ねる。
的確な回答が書かれていて納得したり、ありがたく参考にさせてもらったりすることもある一方で、明らかに世間に自分の知識をひけらかしたいだけの回答があったり、明らかに誤った回答があったり・・・・。
そんな知恵袋いっぱいに詰め込まれた質問や、回答を読んでいると、まるでこの知恵袋こそが全世界の縮図のような。そんな気さえしてくるのです。
さて、そんなYahoo!知恵袋以上にテルミンが好きな僕。
時々「Yahoo!知恵袋」で「テルミン」をワード検索などしているわけですが、そうするとちょいちょい見かける質問。
それは・・・・・
「テルミンを始めてみたいのですが、どれを買えばいいですか?」
というもの。
こういった質問に対しては、
雑誌の付録でありましたよ!「学研 テルミンmini」で検索してください。
とか
ちょっと高いですが、学研の「テルミンpremium」がいいですよ!
とか
アンテナは無いし高価だけど、マトリョミンがいいですよ!
なんて回答が並ぶわけですが、個人的には、これらは全ていまひとつ。
では、僕だったらどんな回答をするか・・・というと・・・・
「まずは買わないほうがいいと思います」
というもの。
一見、意地悪な回答に思えるかもしれないけれども、これは自分なりに真理だと思っています。
なぜならば、先ほどの質問の「テルミン」を「ピアノ」に置き換えてみて、
「ピアノを弾いてみたいのですが、どのピアノを買えばいいですか?」
という質問があった場合、
「まずは子供用のトイピアノを買うのがオススメです!」
「同じ鍵盤がある楽器ということで、ピアニカから始めましょう!」
「キーボードという楽器があって、家電販売店でも買えますよ!」
なんて回答があったとしたら、ちょっと違和感でしょ?
それと同様に、僕からしてみれば、先述の「学研テルミン」とか「マトリョミン」というのは、ピアノで言うところの「トイピアノ」「ピアニカ」「キーボード」のようなものであり、あくまでも「テルミンっぽい、おもちゃ」であったり「テルミンと似ている別の楽器」いうところ。
なので、テルミンを始めたい人に対しては・・・・
「あなたがお住まいの地域によりますが、可能であれば、まずは近くでテルミンを教えてくれる場所を探して、体験レッスンを受けてみてはいかがでしょうか?
そうして習っていくなかで、もっとテルミンを続けてみたいと思ったならば「moog Etherwave」などを買うのがいいと思います」
という回答をするかなぁ。
これを先ほどのピアノの例で言い換えるなら「まずはレッスンに通ってみて、本人がずっと続けたいと思ってるなら、ピアノの購入を検討する」といったかんじでしょうか。
僕がテルミンを教えていただいている先生が、
他の楽器では、興味を持ってはじめたものの、途中ですぐに飽きるということはけっこうあるけど、テルミンは初めて弾いた時に『これは無理!』とか『この楽器は一生つづけよう!』と直感的に感じることが多い傾向があるみたいだ。
ということを話していたけれども、これは真実のような気がするなぁ。
自分自身を振り返ってみれば、テルミン博士のドキュメンタリー映画で初めてテルミンを識った時の感激。
そして、家にテルミンがやってきて、初めて音を出した時のドキドキ感や、こいつをどうにか弾けるようになりたい!と感じた想いを抱いたまま、気づけば10年以上が過ぎていたなぁ・・・といったところ。
そのときの気持ちを持ち続けながら、これからも演奏していきたいと思いますし、これからも、より多くの人がテルミンとの幸せな出逢いが果せたら・・・と願ってやまないのでございます。
テルミンとの出会い
さて、今回は僕とテルミンとの出会いについて語りたいと思います。
僕がテルミンの存在を始めて知ったのは、たぶん高校時代。
レッド・ツェッペリンの「胸いっぱいの愛を」とか、ビーチボーイズの「グッド・ヴァイブレーション」とか、「ウルトラQ」のテーマソングで使われている*1、『ひゅんひゅん』いう音はテルミンというものらしい…という話を聞いたのが最初。
とはいえ、聴いたことがある人ならば判ると思うけれども、これらの曲でのテルミンの音。
まるでオバケでも登場しそうな…、酔っ払ってウイスキーをこぼしてしまって故障したシンセサイザーのような、不気味で奇妙な音…………
そんな音を聴いて、
「まあ、つまりテルミンってのはこういう効果音を出す楽器なワケね…。」
と当時の僕は思っていたのでした。
(おそらくこれは、大抵の人と同じ認識なのだろうと思うけど。)
それから、何年か経った2001年の暮れ。
4年ほど勤めたバイトを辞めて、しばしの休養を楽しんでいた僕は、地元近くの町のミニシアターで何気なく
「テルミン」~THEREMIN,AN ELECTRONIC ODYSSEY~
という映画を鑑賞。(ちなみにその時の日記はこちら 。)
この作品は、世界最古の電子楽器である「テルミン」と、それを発明したロシア人物理学者テルミン博士の、激動の人生を描いたドキュメンタリー作品。
先ほども述べたとおり、テルミンに関しては「『ひゅうひゅう』いうだけのヘンテコな楽器」くらいの知識しか持っていなかった僕は、その映画の冒頭でテルミン博士の愛弟子、クララ・ロックモアさんが奏でるテルミンの演奏にビックリ!
ああ、テルミンは効果音だけではなく、曲を演奏できる楽器なのか…。
さらに、その独特の美しい音色。
弦楽器のような、歌声のような、どこか哀しげなその音色……。
その日以来、僕はいつかテルミンを演奏する日を夢に見つつ、毎日「テルミン、テルミン…ン~」とココロの中でつぶやきながら生きていくことになったのでした。(つづく)